2017年8月の手紙

猛暑が梅雨を寄せつけないうちに、夏が始まってしまいました。今年は季節を感じる間も無く、気候が変動していきます。すっかり季節に乗り遅れて、枯れていく紫陽花のような(笑)何か落ち着かない気分です。

カラ梅雨の東京とは打ってかわり九州で大雨・・・濁流に山が崩れ大地が埋まっていきます。田畑を耕し、森や山を慈しんで生きていらした方達にとって、土地が崩れ流されていくことは如何ばかりかと・・・・言葉も見つかりません。

我が町、豊洲にも、さるすべりの花が咲きました。赤白の小さな花がたくさん・・・駅までの道を万国旗のように彩ってくれています。根無し草のようにたまたま住みついた、この街にも愛着が生まれてしまうのに・・・・先祖代々受け継がれ、守り、そこで生まれ、育ち、愛しみ続けた土地が崩れ埋もれていく悲しさは計りしることができません。東北での大震災、九州の地震、水害・・・本当に天変地変が続きます。早く穏やかな日々が皆様に戻られることを、ただ、ただ祈るばかりです。8月には東北・大槌町に行ってきます。月日だけが過ぎて行きます・・・

10月17日(火)に友納あけみ*コンセール コムテアトル『恋文Ⅴ』を開きます。
新橋・内幸町ホール*開場18:30*開演19:00

今年の『恋文Ⅴ』は堀辰雄の不朽の名作『風立ちぬ』を歌と語りを絡めながら、綴っていこうと思います。あの宮崎駿さんが、数年前、この作品をオマージュし縦糸に、そして、零戦の設計者の堀越二郎さんの人生を横糸にして、アニメーション映画を創られました。原作では実話だと言われている、軽井沢のサナトリウムを舞台にした薄倖な女性と作家の儚い恋のお話・・・少女時代に最初に読んだ時は、ただ、美しい物語にしか思えなかったのですが、改めて読んでみると、限られた命の輝きと、それだからこそ、一層深まっていく二人の愛!生きることの意味、本当に人を愛するとは?運命に翻弄される人の哀しさ・・・出会いの不思議さ・・・様々なことが自分自身の人生への想いと重なっていき、たくさんの問いかけが聞こえてきます。後2カ月ほど!ひとつづつ答えを探しながら、大切に創り上げていきたいと思っています。暑い夏も終わり秋風の吹く頃・・・皆様のお出掛けをお待ちしております。

*12月21日(木)綱町三井倶楽部*友納あけみ*クリスマス晩餐会2017

(ホームページ「今月の手紙」より転載)