春の足音が聞こえてきました。駅に向かう途中に都営の団地があります。まだ、豊洲が、「陸の孤島」?と呼ばれていた頃から有ったらしく、六階建ての昭和の香りの溢れる団地です。急激に発展したこの街には最近、ガラス張りの50階建てくらいのマンションがニョキニョキ(笑)造られていて、新旧、不思議な光景です。
その団地には、古くから住んでいらっしゃるお年寄りが多く、建物の回りを花壇にして、それはそれは大切に造っていらして、季節折々に道すがら、本当に心を和ませてもらいました。私は80歳ぐらいのお祖父さんが、雨の日も、晴れの日も、暑さ、寒さをものともぜずに丹精なさっている花壇が一番好きでした。折々の小さなお花を群生させてらして、春も秋も、風に揺れる花たちの様子は愛らしく、いつも本当に楽しみにしていました。ところが、ある日から、お祖父さんの姿は消えてしまいました。花壇はあっという間に荒れていって、半年も経つと、雑草で一杯なってしまい、あー!あのお祖父さんどうかなさったのかなあー・・・?と淋しく花壇を眺めていました。その暫く後に、真夏の暑い日に、杖をついて、少し足をひきづっていらっしゃるお姿を見かけました。多分、何かのご病気だったのでしょう・・・お祖父さんの花壇は、そのまま、荒れ地のようになっていきました。そして、この団地も、この春で取り壊しが、決まりました。先月で住んでいらした方々も引っ越してしまい、丸ごと廃墟になってしまいました。皆さん、ずっとそこに住んでコミュニティーを紡いでらしたお年寄りばかり、どうしていらっしゃるのか・・・?
先々週、ふと目をやると、お祖父さんの花壇のあちこち一杯に黄色い小さな花が風に揺れていました。きっと、土の中に残っていた種が春に芽を出してくれたのです。この地を去る方々への餞のようで・・・その情景はどこか物悲しく、何とも言えない淋しさを感じました。お祖父さんも皆さんも、お元気で、新しい住まいで、心穏やかに日々を過ごして下さることを祈りながら、長い間、癒しを頂けたことを深く、深く感謝しています。
友納あけみコンサート第23章『再会』と題して6月16日(木)に渋谷・さくらホールで開かせて頂きます!1990年から始めた、このコンサート活動も23回目を迎え、今回は大切に歌い続けてきた『再会』をタイトルにしました。私にとってはシャンソンを歌い始めて、最初に出逢えた、まるで初恋の人のような曲です。あの頃の想い・・・そして、これまでの日々と『再会』しながら、歌っていけたら・・・と思っています。音楽の調べに乗って、皆様それぞれに素敵な『再会』をして頂ければ・・・幸せです!華やかな美しい時を!とスタッフと構想を練っております。是非、お出かけくださいませ。
ご一報をお待ちしております。